教養書のすすめ

-読書でより良い人生を生きるために-

2017-01-01から1年間の記事一覧

オレオレ詐欺と資本主義に対するモヤッとした気分の正体

以前、鈴木大介の『老人食い』という本を読んだ時に、妙にモヤッとした気分になったことを覚えている。ちくま新書で出版されたこの本は、サブタイトルに「高齢者を狙う詐欺の正体」とあるように、昨今話題となっている、高齢者をターゲットにした「オレオレ…

安定を望むということ――『転がる香港に苔は生えない』

本を読んでいると、ときどき、一度も行ったことのない国のことが書かれているにもかかわらず、まるで自分がその国で生活してきたかのような感覚に陥ることがある。そしてそういう時、その本は私にとって、おそらく海外旅行に行く以上の価値をもたらしてくれ…

「自然に生きる」ということ

私たちはこの世に生まれた瞬間から、大自然から認められた「生きていていい命」である、というのは、名取芳彦の『気にしない練習』という本の言葉である。お寺の住職を勤めている、いかにもお坊さんらしい言葉だが、私たちを構成する肉や骨、内臓も含めた、…