教養書のすすめ

-読書でより良い人生を生きるために-

人は「言い訳」をする生き物

 人が行動するときに、常に何かを思考した結果としてそうしているわけではなく、むしろ機械的、自動的な行動に身を任せていることのほうが多い、というのは、ロバート・B・チャルディーニの『影響力の武器』に書かれていることで、人もしょせんは動物の一種であって、その反射行為からなかなか逃れられるものではない、という意味で、いろいろと考えさせられる本である。この本では、だからこそその自動的行為につけ込んで、他人を思い通りに動かそうとする人たちに気をつけるように、という注意喚起へとつながっていくのだが、私にとっては、そうした人のより原始的な部分が自分にもあるということについて、少しばかり救いになっているところがある。

 私はよく失敗する人間だ。そして悪いことに、その失敗をいつまでも引きずってしまうところがある。これは私のこれまでの人生において、なんとかしようと思いつつ、それでもなおどうすることもできないまま、今ではこの性質とうまく折り合いをつけて生きていくしかない、となかば諦めているものでもあるが、たとえば、あるまずい行動をしてしまったがゆえに失敗し、誰かに大目玉を食らうさいに、「なぜあのとき、あんな行動をとったのだろうか」と思い返しても、その理由がまったくわからないということが、じつによくあるのだ。

続きを読む