ネットことばという新しい世界――『ネットで「つながる」ことの耐えられない軽さ』
以前、私はネット上にウェブサイトをもっていて、そこで長く本の書評を書いてきたことがある。現在そのサイトは、自身の環境の大きな変化があって更新を停止し、そのまま今に至っているのだが、再開できるかどうかは定かではない。というのも、私のそれまでの書評スタイルは、文章がけっこう長くなってしまう傾向があったのだが、そうした傾向がネットという環境にそぐわなくなっているのではないか、という思いが以前からあり、それが書評を再開するという行為を思いとどまらせているからだ。
藤原智美氏の『ネットで「つながる」ことの耐えられない軽さ』という本は、そんな私のネット上の言葉に対する「そぐわない」という思いを、「ネットことば」という表現で言い表そうとしたものだと言うことができる。
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